御馳走について
ドクダミ五十号
稲荷寿司と太巻きが
如何に御馳走であった事か
材料は安価であるが
手間は恐ろしくかかる
ハレとケの区別があった時代
日々貧しく忙しく
美味など忘れそうな時に
突然振り下ろされた槌の様だ
食物に愛が有るか無いか
等と考えるならば
即ち俗物は笑うであろう
美味は値段と=だよと
そうか?
インパクトは充分だ
安価な物を鼻で笑い味わってもみない
ブルジョアには訪れない衝撃だ
記憶とは五感それぞれぞれにあるらしい
私の記憶にはこのハレの日の御馳走が
深く刻まれている
愛情は美しく
そして
複数の味を伴い
鋭いけれど優しく
再現を今でも目指すのは
失われたハレを取り戻したいからだろう
永遠に訪れないかもしれないのに