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佐藤伊織

君のことがいやだって
嫌いなんじゃないよ?
嫌いなんて面倒な事は
いわない

ただ、なんとなくいやで
一緒にいたくないんだ

鏡の向こう側で
わたしの顔が
わたしに囁く

君は必要とする人には
避けられる
君は必要じゃない人に
うまいように使われる

君は愛せないし
誰も愛さない

君はすぐには死なないけど
死ぬときは一人だし
その間できるともだちはみな
本当は君の事を知らない
君が誰なのかも知らない
君が何をしたいのかにも
何をしているのかにも興味はない

もちろん
君だって
君が知りたいと思っている人のこと
なんて本当は知りたくもないし
そもそもその人が本当にいるのかすら
わからない


君は生きているようにみえるけど
単に息をしているだけだし
動いたり止まっているしているだけだし
偽りの安らぎや眠りの中で
本当は針に刺されたままつながれているだけで


不器用に
あの木の幹に向かって
告白してみようよ
木なら君を裏切らない
ように見えるだろう
ベンチでも
棚でもいい


大好きって
言おうよ
それって
誰に向かって?
誰が好きなの
君はだれなの





誰でもない君が
一体誰に対して?















自由詩 1 Copyright 佐藤伊織 2012-12-04 22:52:16
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