いい一日になりそう
竜門勇気


真夜中に目が覚める
暗がりを頭きりさく

いい一日になりそう
いい一日になりそう

間違いの手のひらに到着
午前3時42分
間違いは熟睡
靴下を片手に踊る
捕まえてあるフクロウが
夜にもっと濃い闇を撒いて飛んだ
中身がこぼれて
少し赤いよりもっともっと暗い夜

いい一日になりそう
いい一日が始まってる
不愉快がほんの少しだけあって
それがすごく心地いいような
むず痒いような
世界が終わるまで
ちょっと一休みしてるような
良い感じが聞こえる
いい一日
いい一日になりそう

丸まった間違いが呼吸をしていない
なんてこと!
フライパンを火にかけて
塩とヘッドフォンをほおりこんで逃げた
追手が見つける頃には音楽は耳の中
裸になった蝋燭
光が当たる電圧
ガンジス・土嚢・毒の虫
ハレルヤは聞こえなかった
八千と四つの夜の裏
光瀬龍の文庫が世界中の古書店から
僕の部屋にやってくる
約束の時間の少し前
時は届かずに凍ってしまった

深夜の気配を感じて振り返るけど
そこにはだれも
猫の鳴き声で目覚めるけど
横には廃屋が
歩き去る自分の背中を自分で見てしまうけど
右手にはあの子が
僕の耳の中に舌を差し出して音楽だけを連れ去ってしまう

いい一日になりそう
あい足音
いい一日になりそう
あいあい足音
ぶれたままどっかで一つになりそう
いい一日になりそう
ぶれたままちょっと知らない誰かになれそう



自由詩 いい一日になりそう Copyright 竜門勇気 2012-11-29 07:49:38
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