老人と少年と通りすがりの私
田園

老人は溜息をついた
己可愛さに守りに固執する馬鹿者どもの多くなった事よと
老人は猟師である
日本ではもう少なくなった狩りを主とする人生を送っている

老人はとある子供にいった
お前は好きな道にいけ
ただし己を過信しすぎるな
己に厳しくだがしかし目的を忘れるなかれと

子供は老人の行ったままに努力し
土方の仕事をしては母親たちが自らの子らに「ああなってはいけない」とひそひそ言われているのも我慢をし
鍛え
目的を果たした

老人はもう逝ってしまった
通り過ぎた私はその偉業を
すくいとれずにいるが
その子供の目を見れば分かる

「お前よ、好きな事をしろ」
老人はそう言ったそうだ
たしかにかつて少年であった男は
そのような目をしていた


自由詩 老人と少年と通りすがりの私 Copyright 田園 2012-11-22 19:32:43
notebook Home