動機
るるりら



小春は 咲いていた
いたいけな木枯らしに とまどいながらも 
茨の木も葉を落として
生まれた詩たちが 真っ裸になる この秋空に  あなたは

腹を満たすために
寒さから身をまもるために
花を咲かす植物に無関心ではいられない 素っ裸な人間のために あなたは


叢で 細い女の指のように 葉をほそらみ
朝日の昇るときの紫ような 花弁を けなげに開き

だれかの血にあがなうための媚薬
サフランとして

霜も凍るこの季節に
一輪のサフランの花が 咲いている
その小春に そっと 手をかざすと


大地や空や風が その たしかな暖に
それも あなたの生き方だと 笑っています

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※サフラン 
この花のめしべだけを採取し、料理の色づけに使用。
採取には大変な労力が必要なためか古代ギリシアでは王しか利用できなかった。
古代インドや アラビアンナイトと中にも 誘淫剤としての記述があるそうです。


携帯写真+詩 動機 Copyright るるりら 2012-11-20 13:15:01
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