夜と白 Ⅱ
木立 悟







砂漠が止まり
荒地に変わり
境はうねり
灯に裏がえる


蒼とむらさき
はざまの冬に
窓は影を塗る
ただ繰りかえす


両側を壁に囲まれた
長い坂を下りる
無い色 無いつぶやきに
ひたされる街


金に狭まり
蒼に昇る径
羽も無く飛び
帰らない記憶


七分間で終わりはじまる星たちが
雨の音を連れてくる
河口へ向かうざわめきのなかに
星を追うけだものの息がある


霧は高く花を濡らし
樹々の渦を星は渡る
蝋の蛇は燃えながら這い
径を白く照らし出す


半分凍った波の仮面を
鳥たちが野から引き剥がし
誰もいない 誰もいないと鳴きながら
街の上をすぎてゆく


曇を背負い
坂は水をのぞきこむ
双つの星 双つの径
双つの鐘が鳴りわたる





























自由詩 夜と白 Ⅱ Copyright 木立 悟 2012-11-13 22:16:18
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