逃亡者。
元親 ミッド

路肩に吹きだまる枯葉
新銅の輝きに縁取られた灰色の雲
ベランダに放置された色褪せたサンダル
つぎはぎだらけのアスファルト
遠くでたなびく商店の幟(のぼり)




そんな断片的映像をサブミナル効果で
脳内に焼きつけながら
僕らは、どこまでも逃亡し続ける。




追いかけられ 追いかけられる
どこまでも どこまで行っても
逃げる 逃げて
それでも
ついてくる 迫ってくる。




日々は、相も変わらず
その圧力を弱めることなく
僕らは、毎日追いかけられる。




“とりあえず”というステップでかわしかわし
“今はこれしか”という橋をわたり
どうにか こうにか逃亡し続ける。




落し物の鍵束


同じく、落し物の子供の靴
ただし、片方だけ。


空のペットボトルが風と競争するけど
まったく相手にされてない。




日々、そんなありふれた日常を
繰り返し 繰り返し
僕らは、ただ漠然と逃げ続ける。




どこにむかって逃げているのかはわからない。




どこに着くのかもわからないのに走り続けた。


自由詩 逃亡者。 Copyright 元親 ミッド 2012-11-12 22:15:45
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