時間と光の断面
木屋 亞万

時間は時と時の間
そして時は流れる
時を感じようとすれば
時は時間となっている
時をどれだけ短く切り取っても
時は時間になっている

時間はつながりそのもので
時は時間から生まれる
時は時間の断面で
時間は川のようなもの
堰き止めた川は川と呼べない

時以外に間のついた
人間という生き物も
つながりがある

人は人の間に生まれ
人の流れに生きている
人は人間の断面で
人は流れの一要素

流れるという現象は物質の移動そのものだ
敷き詰められた粒子がだらり
流れ動くための集まり
時間も流れる集積だ

つながり移動を繰り返す
空間だって同じこと

空間は光
光は波
波は流れる
目に見えるものすべてが光
光は輝く
光は刺激

天才のことを人間は
輝く星のスターと呼ぶ
光は美しい
光は素晴らしい

すべてを見えなくする闇は
前向きな光の後ろにできる
ありのまま受け入れたなら
解け合って解放される
操作せず堰き止めもせず身を委ね
ともに流れる
流れ切るまで

人間の流れの中で
立ちどまり人であろうと願うこと
それは流動への断絶

堰きとめるものへの負荷は
押し流す強い力を受けるもの

時は切り取れない
光は抜き取れない

人は光になりたいと願う
けれど人は人間で
間を生きる存在で
つまり流れの断面だ

人間は人と人の間を流れ
光のように輝くが
輝き続けることはない
刺激はすぐに流れ去る

輝かぬものこそ普遍に続く
人間はただ連綿とつながり続ける流れだぞ
生きる僕らは断面だ
たまに輝くただ断面


自由詩 時間と光の断面 Copyright 木屋 亞万 2012-11-03 20:20:38
notebook Home 戻る  過去 未来