羊王
Seia

羊の顔をした王様が
宝の山に
背を向けて
ばたりと
雪崩れ込む。


なんでこんな顔になったんだっけかなぁ


背中にエメラルドが、金塊が
ちくちくと主張する

壁画にはこの国の歴史が
滑稽なポーズを決めていて

出てくる登場人物もまた
様々な動物の顔をしている

猫、鷹、コンドル。
蛇、狼、熊、フクロウ。


王の血を引くものたち。


右手で顔を撫でるとなんだか
かなしいやらおかしいやらで

背中に刺さった切れない宝剣が
いつまでも、いつまでも抜けない


草以外のものも食べられるんだけどなぁ


羊の顔をした王様が
宝の山に
包まれて
ぐすりと
ちいさくないた。


自由詩 羊王 Copyright Seia 2012-11-03 03:39:10
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