誰が知っただろう
川上凌


誰が知っただろう

わたしがあの日 おふろ場で

声をころして 泣いたこと


誰が知っただろう

わたしがあの日 公園で

宙ぶらりんに なったこと


誰が知っただろう

わたしがあの日 屋上で

月に向かって 飛んだこと


地球在住の

七十億の人々 みな

誰が知ったことだろう

わたしが 居ても 居なくても


知ったところで

日常の 一片ひとひらとして消えること


いつから わたしは こんなにも

優しく柔く なってしまったのだろう


誰の心にも 留まらずに

消えるひとに なったのだろう


鋭く潔い ひとで在りたい


ただ ひとに反抗できるほど

自分の道を きめるほど

ひとを動かしてでも叶えるほど

わたしの夢は 強くはない


都会のネオンに消されるような

そんな星にはなりたくない


想いは確かにここに在る


わたしの心は 強く在る







自由詩 誰が知っただろう Copyright 川上凌 2012-11-01 23:26:42
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