子役大好き

まるで子供のように泣き喚く母を見ていた。
なんてことをしてくれたんだ、なにもかもが台無しだ、
大学にも行かせ手塩にかけて育てた息子だったのに、
生きる望みがなくなった。
涙を拭いながらタオルを振り回しながら。
僕はそれをぼんやり眺めていた。
生きる望みなんてとっくに失っているし、
もし仮にそれが親から与えられる物だとしたら
あなたは僕に一切の希望を授けてはくれなかった。

母は土下座をし、子育てを間違えたと三回繰り返した。
母は子育てに失敗した。
僕は失敗作だったとやっと認めてくれた。
ようやく失敗作として進むことができる。
何かが欠けたまま歩いていける。
埋めたくなったら他人を頼るし。
気にならないなら欠けたまま進む。


自由詩Copyright 子役大好き 2012-10-21 01:03:03
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