(仮)
sample
素顔を布で覆った、恋人たち
鳥には雲がうかび、空が飛んでいる、鳥
これはパイプではない、とパイプを描く、イメージの裏切り
それらに題名を与えた、マグリットの顔は
青い果実に、隠されている
テーブルに布を敷き、ナイフで林檎の皮を剥く
あなたがイメージ通り、切り分けた上弦の月
鳥が羽ばたく、空に靄がかかる
僕は出来るかぎり、さりげなく
そしてかぎりなく、慈しみに近い水色が
挿しこまれる薄さに、目を、細める
そんな粗末な、即興劇にさえ
僕は未だ、題名を決定付けられないでいる
怯えている、空にひびが入るのを
永遠に結ばれないまま
引かれ合うイメージのように