(仮)
sample

素顔を布で覆った、恋人たち
鳥には雲がうかび、空が飛んでいる、鳥
これはパイプではない、とパイプを描く、イメージの裏切り
それらに題名を与えた、マグリットの顔は
青い果実に、隠されている

テーブルに布を敷き、ナイフで林檎の皮を剥く
あなたがイメージ通り、切り分けた上弦の月
鳥が羽ばたく、空に靄がかかる

僕は出来るかぎり、さりげなく
そしてかぎりなく、慈しみに近い水色が
挿しこまれる薄さに、目を、細める

そんな粗末な、即興劇にさえ
僕は未だ、題名を決定付けられないでいる
怯えている、空にひびが入るのを
永遠に結ばれないまま
引かれ合うイメージのように


自由詩 (仮) Copyright sample 2012-10-19 05:44:16
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