何も言わなくたっていい
三田九郎

語れば語るほど

あなたへの思いが

色あせ

別物になってゆく

何か言おうと戸惑うたび

ワインの酸味がきつくなる

ことばになること

ならないこと

しなくてもいいこと

あなたとの無言の時間が

戸惑うわたしに

ことばのいらない幸福を差し伸べ

静けさのうちに

どこまでも優しく

抱き寄せてくれる夜


自由詩 何も言わなくたっていい Copyright 三田九郎 2012-10-18 21:26:24
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