りんごの夢
朧月

どこか遠くからきたりんごが
台所に座っていた

母親が小言をいう
父親がだまってテレビをみている
そんな普通の家庭に
憧れる私の目の前に

この時期しか売られないんですよ
売り場の女性の目が少しも
笑っていないことが気にかかり
上の空で一個だけ買った

りんごは想ってる
また故郷へかえろうって
役目が終わればきっと
かえれると
信じて座ってる

ゆっくり皮をむく
残さず食べれるように
私の家族も手を伸ばし
りんごを食べる
深く味わって


自由詩 りんごの夢 Copyright 朧月 2012-10-12 22:44:05
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