なだらかな丘の草おおう地面にすわりたい
木の若芽

「なだらかな丘の草おおう地面にすわりたい」
                木の若芽


木の葉と鳥の羽に映し出された
 微妙な彩りの恵みが
 等しく幸いの象徴なことを
 なによりうれしく思う

 すべての色がまじって
 透明になって 虹になって をくりかえして
 宇宙がうたい踊るなかに
 だれがすわってもいい玉座があります

     *

東雲
見つめていればわたしも雲
水面
見つめていればわたしも水
静かに見つめていれば
わたしは五元素にくだけ
ただよい飛び 遊び流れる
消えてゆく有明の月
見つめていればわたしも消える

なんにもとらわれのない、こだわりのない
光の粒ひとつひとつが
宇宙意識を宿したビッグバンの始まりの種と同じ
この光の粒たちの舞い散る舞い散る
広がりになったとき
自分が遺伝子などではなく 五元素からなっているのだと気づく

     *

木々の下を歩く
草の上にすわる
そのとき心にあるものは
限りない自由と平和
うそじゃない
さあ また木々の下を歩きにいこう
ほら この自由
満ちる鳥の声 枯れ葉の香り
ああ この平和
もう逃がすことがあるだろうか
いいえ いいえ そんなこと

なにもしない幸せ
それをこんなに愛にあふれて感謝して感じる
人としては落ちこぼれでも
草木、または雀くらいの小鳥としてなら
生き生きといのちを謳歌していよう

なだらかな丘の草おおう地面にすわりたい
だれもいなくてもいい
だれかいてもいい
わたしがそこにすわる
それだけでわたしの王国だ



自由詩 なだらかな丘の草おおう地面にすわりたい Copyright 木の若芽 2012-10-08 14:45:52
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