なだらかな丘の草おおう地面にすわりたい
木の若芽
「なだらかな丘の草おおう地面にすわりたい」
木の若芽
木の葉と鳥の羽に映し出された
微妙な彩りの恵みが
等しく幸いの象徴なことを
なによりうれしく思う
すべての色がまじって
透明になって 虹になって をくりかえして
宇宙がうたい踊るなかに
だれがすわってもいい玉座があります
*
東雲
見つめていればわたしも雲
水面
見つめていればわたしも水
静かに見つめていれば
わたしは五元素にくだけ
ただよい飛び 遊び流れる
消えてゆく有明の月
見つめていればわたしも消える
なんにもとらわれのない、こだわりのない
光の粒ひとつひとつが
宇宙意識を宿したビッグバンの始まりの種と同じ
この光の粒たちの舞い散る舞い散る
広がりになったとき
自分が遺伝子などではなく 五元素からなっているのだと気づく
*
木々の下を歩く
草の上にすわる
そのとき心にあるものは
限りない自由と平和
うそじゃない
さあ また木々の下を歩きにいこう
ほら この自由
満ちる鳥の声 枯れ葉の香り
ああ この平和
もう逃がすことがあるだろうか
いいえ いいえ そんなこと
なにもしない幸せ
それをこんなに愛にあふれて感謝して感じる
人としては落ちこぼれでも
草木、または雀くらいの小鳥としてなら
生き生きといのちを謳歌していよう
なだらかな丘の草おおう地面にすわりたい
だれもいなくてもいい
だれかいてもいい
わたしがそこにすわる
それだけでわたしの王国だ