名もなき労働
葉leaf

太陽が没落した朝
その太陽を追跡する雲たちは
昼の影を踏んでばかりいた
雲と太陽が空の糸を引き合い
そこから地上に放たれるもの
地上に放たれなかったもの
我々は渦を巻く準備をしなければならない

名をもがれた労働者たち
その名はもはや風と共に動く
声をもがれた労働者たち
その声はもはや土と共に沈む
労働者は笑う
そこには肉体だけがある
肉体と木と土と機械と
欠落に満たされて
狂うほどの精神すら失い
名も声もない労働者の
名も声もない労働の
裸婦のような美しさ

我々は太陽とともに没落し
労働を日々の水面に湛え
欠落が欠落のままである日を
名と声もなく精神もないままである日を
肉体がただ肉体としてある日を
待ち続けている
飾るもの運動するもの抵抗するもの
すべてを投げ捨てよ
光を投げ捨て盲人のように這い
労働がその外側に何も持たないとき
人間のまなざしは刃のように美しい


自由詩 名もなき労働 Copyright 葉leaf 2012-10-06 12:35:59
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