野ぶどう
そらの珊瑚

教会に行く小径で
野ぶどうを摘んだ
手のひら
いっぱいにのせた
紫色の小さな実
食べるわけではないのに
文句も言わずに摘まれる優しい実
あの頃の
わたしの宝物だった

欲張りな少女の手のひらから
転がり落ちたそのひとつぶ
土の中で静かに睡り
もうそろそろ芽を出す頃

もうわたしの宝物ではないけれど
きっと誰かの宝物になることでしょう


自由詩 野ぶどう Copyright そらの珊瑚 2012-10-02 08:35:07
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