萎えた感情のダンス
ホロウ・シカエルボク





山羊の頭のスープ、二、三杯ぶちまけて
俺のベッドはゴキゲンな調子に粘っこい
イエスタディズ・ペーパーが届いた日よりずっと昔に出ていった女が
天窓から覗き込んでヴゥードゥーの呪文を吐く


ヘイ、青白い月明りの
ささくれだったポーチで待ってなよ
自慢のケツを突き出して待ってなよ
呪詛なんか唱えなくていい
昔のことなんかいちいちこだわったりしない
グルーブに飽きたらそのうちファックしてやる


我先にと死に過ぎたソウル・サヴァイヴァーたち
もはや生き返る意味もろくに無い
街路には腐肉と腐臭が山積み
ロックンロールで踊っているくらいしか手がないのさ


あれはいつだったか、ブローニュの森で
骨付きバラ肉で発見されたショートカットの白い女
殺した男はいまじゃ
その時の体験談で食いつないでいる
ねえ、マドモアゼル、あんた今でも
殺され続けているような気分でいるんじゃないかい


俺はハートブレイカ―、いつだってなにかしら
俺はハートブレイカ―、思ってるよりはほんの少し


デーモンを連れてこいよ
デーモンをダンスに誘おう
あいつの脚はきっと軽やかなステップを踏むぜ
見るもおぞましい爪の跡が
フロアーにしこたま残るけどな
山羊の頭のスープ二、三杯ぶちまけて
俺のベッドはゴキゲンな調子さ
おいでよ、どいつもこいつもグルーブしよう
ステップを知らなくても踊れるのが本当のダンスさ
俺たちの心はもともとダンスを理解しているんだ


ホンキー・トンク・ウーマンの安い映画みたいなブルース
けたたましい指笛で掻き消してやれ
歌ってくれなんて言わないぜ
余興を楽しむにゃ少々草臥れ過ぎているからな


街路には腐肉と腐臭が山積み
もはや生き返る意味もろくに無い
鮮やかなケツがおんぼろなポーチで俺を誘ってるから
ロックンロールで踊ってるくらいしか打つ手がないのさ









自由詩 萎えた感情のダンス Copyright ホロウ・シカエルボク 2012-10-02 01:10:54
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