愛しあう人たち
御飯できた代

 キヨの彼女は料理が大好き。料理の隠し味は大きな愛よ、なんて言っちゃうもんだからキ
ヨはいっつもヤキモチ妬いちゃう。だからキヨは「そんなに料理のことが好きなんだったら
その刃こぼれした包丁に訊いてごらんよ。きっとあなたの綺麗な指を傷つけないためさとか
なんとかいうだろうよ」なんて憎まれ口きいちゃうの。だけど彼女も負けてなくって「じゃ
あトマトさんにも訊いてみなくっちゃね。なんでそんなに赤いの、って。きっとあなたに見
つめられて恥ずかしいのって答えてくれるはずだわ」なんてにこやかにするの!キヨはそん
な彼女が可愛くって愛おしくって、でも憎たらしくって。どうしようもないからぷいってし
たの。そしたら彼女、「もう、ちょっと待ってて。もうすぐあなたのもとに返ってくるんだ
から」、だってさ。


散文(批評随筆小説等) 愛しあう人たち Copyright 御飯できた代 2012-09-26 23:31:39
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