ひかりへ還る
もっぷ

きっと生まれて初めて見た色って
ターナーの洪水
まばゆいなか ひかりのなか 空映す青
きっと生まれて初めて知った色って
ターナーの洪水
まばゆい夢 ひかりの夢 母なる海

無から有へと蓄積は始まり
ヒトとしてやっていくうち
もっともっともっと知って
ターナーの洪水は影を潜めるけれど

最初から皆無なわけじゃなかった
最初から無色なわけじゃなかった
最初から罪がなかったわけじゃなかった
最初から何も知らないわけじゃなかった

マンモスよりはるか悠久の時の流れのなかで
マンモスもきっと同じ色知ってた
十月とつき十日とおか苦しめた人がいて
きっとそのころから知っていたのだろう

ヒトはその死の直前に走馬灯を見るというけれど
ヒトはその死の一番最後が食欲だって言われているけれど
わたしきっとねターナーの洪水だと思う
わたしきっとね黄金に実った原風景への執着だと思うの

きっと生まれて初めて見た色って
ターナーの洪水
まばゆいなか ひかりのなか 空映す青
きっと生まれて初めて知った色って
ターナーの洪水
まばゆい夢 ひかりの夢 母なる海

きっと死ぬ時最後に見る色って
ターナーの洪水
まばゆさが ひかりが そう空が招くよ
きっと死ぬ時最後に想う色って
ターナーの洪水
その時やっと気がつくのだろう

刹那の意味とその輝きを…


自由詩 ひかりへ還る Copyright もっぷ 2012-09-23 12:05:52
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