君と見ていた川
itukamitaniji

君と見ていた川

ここでずっと川を眺めていた 飽きることなく
もう何処にも戻れないような そんな気がしていた
動き出す街の景色に 僕らは取り残されて
こっそりと息をした 奴らに見つからないように

言葉が見つからないまま
物語を創るように

ツギハギのままで 無理矢理に繋ぎ続けた
終わりのないストーリー それだけが僕らの本当だった


誰もが蹴飛ばし踏ん付ける 安っぽい夢を集めて
微妙なバランスで組み立てた そんな部屋で暮らしてた

いつしか意志とは関係ない
大きな力が働いて

いつもは笑っていた君が ここで泣いたんだっけ
僕はふざけて 歌うことしかできなかったんだ
世界は嘘っぱちなまま それでも回り続けるなら
僕は変わらずここにいる そう誓ったけど


嘘みたいな朝焼け
凍りつきそうな水面
突然のドシャ降りとか
強く結んだ約束

止まってるように見えた 川もちゃんと動いて
君の涙も僕の涙も 最後の海へと流していった

創り続けた物語は もはや僕らの手を離れて
誰も読まない 薄汚れた本の隅で暮らしている
ちょっと泣いてた君も ちゃんと笑ったんだっけ
僕はどうだろうな 相変わらずかもしれないけど

それで良いんだよって 君が言ったんだっけ


自由詩 君と見ていた川 Copyright itukamitaniji 2012-09-22 10:17:17
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