うなぎ電車
天野茂典

   駅は谷になっていて
   陽射しが差し込まないで寒い
   何を考えるのでもなく
   電車を待っている
   やがて電車はうなぎになってあらわれる
   だれも驚くやつはいない
   電車の中では本がよめない
   電車の中ではトイレにゆけない
   でも二区間だからなんとかなる
   うなぎ電車は流線型だから
   早いのだ
   沿線の小駅を
   つぶてのように
   通過してゆく
   うなぎ電車は特注ものだ
   きょうも特注ものの
   うなぎ電車に乗って
   通所してくる
   うなぎ電車に車輪はない
   むしろリニア・モーターカーのように
   浮きながら飛ぶのだ
   したがって多量の水の供給が必要である
   地震が来れば事前に察知して
   ストップするのも特徴だ
   次世代交通手段であることも確かだ
   うなぎ電車よ
   さあ ぼくもお出かけだ


未詩・独白 うなぎ電車 Copyright 天野茂典 2004-12-14 07:34:17
notebook Home 戻る