失楽の花
月乃助

 

口を噤んでいたユリの
吐息はひとつ
羽衣をひろげるように
つぼみを といた
 

消え去らぬ
心の蒼いしおりを 想いださせる
白い芳香


純心を乱す 花のかたらい


  劫という時のながさの 昔
  私が、生まれた
  私は、天とひとつの存在でした

  人待ち顔の花の身は、いつわりの
  うつせみ
  わけなど ありあまるほどに

  さけぶがため
  もとめる ため


なのに
にく欲など煩わしいと うそぶく


ならば
わたしは、六本の男根をことごとく
去勢してしまう
純真の白い肌に、無垢の色をかさね
おまえは、
男を知らずにすむ


永劫の少女の時が、はじまる




花は、ただ濡れ」
一滴
なみだ色の 
甘い蜜を おとしてみせた 








自由詩 失楽の花 Copyright 月乃助 2012-09-14 09:39:14
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