M
三田九郎

なんにもないのが嫌で

空疎な行為を義務化する

一文字

次にまた一文字しるし

空白をうずめて いく


自分を生き埋めにして

いく みたいだ

苦しいけど 中毒的な 症状

空を飛べたら恐いじゃん、

どっかいっちゃうじゃん、


不特定多数のわたしが

わたしを無理強いする

自分に対する犯罪が

沈殿して いく

囲まれて 殴られる

負の感情が

堆積して いく


同一性の慣性が

無数のわたしを

押し流す

ああいえばこう いい

こうすればああ し

わたしは ああ

変われない 所作と

      思考


たたいて

ひっぱたいて

ひっぱ たたいて

痛みで

飽きて

断念する刹那の自分

を見つめる自分


止めるんだ

止めちゃうんだ

そこまで で

そんだけ で

止めることで

失われる意味と

生まれる意味


いい加減な言葉で

自分というものが

塗り固められて いく

悪徳が凝縮された

重たすぎる 所作と

      思考


空を飛べたら恐いじゃん、

どっかいっちゃうじゃん、

それでも

いま

うずもれた砂礫の底で

衝動

  が満ちて いく


自由詩 M Copyright 三田九郎 2012-09-13 23:09:00
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