モダン・タイムス
umineko

旅先の朝
隣のテーブルは
幼子と祖母

みいちゃんは、
しんかんせんで、
あのね、あのね、

伝えたいことがあるのだ
オレンジジュースが
朝日にゆれる

私は
私のほんとうを
幾度も
だけど
そのたびに

影でもなく
闇でもない
ただ
ぽっかりとほこらがあって

とても大事なものを
そこにおいてきたのだ、と

貴方に

模倣でいいのだ
そのままでいい
たとえば
朝の幼女のように

ただ伝えたいだけなのに

だけど
しがない私の声は
貴方の前では透明で

見ることも
触れることさえ

突然
手をつなぎたくなるよ

敗北、だよね
詩人にとって
 
 
 
 


自由詩 モダン・タイムス Copyright umineko 2012-09-10 00:43:31
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