クィックライフ(六)
信天翁

祖母が大事にしていたサボテン
   それが枯れて軒下に放置されると
      ひ孫がデッサンの対象にしてしまった
(若し温室に並んでいたら
   祖母は民話の対象にしていたかも知れない)
ところが 祖母はその枯れたサボテンを眺めては
        ひ孫に向かっていつも呟いていた
<なにもかも流されて そうして 消えてゆくんだょ
   川面(かわも)に浮かぶ泡(あぶく)のように
     なんまんだ なんまんだ なんまんだ・・・>
まさしく 平日の無聊こそ 
            祝祭日そのものであったのだろう
               猫背となった祖母にとっては  


自由詩 クィックライフ(六) Copyright 信天翁 2012-09-08 19:49:36
notebook Home