パークサイド裏
salco

夏の夕刻
不忍池から横断歩道を渡り
コンビニやファストフードが煌めく大通りを左折すると
直進の先にそびえる広小路から身を隠すように
路地1本に凝り固まった風俗街がある
雑踏から必要以上に遠ざけられた感があるここは
夜さえ一層わびしい

化粧上手なストリップ嬢めいた
ホテルプリンセス(?世 のネオンがいつも消えている)
の向かいでは
ガードレールに尻を乗せた3人に
20代終わりか、がっしりしたスポーツ刈りが
得々と風営法対策をレクチャーしている

「ここで何やってんの?って訊かれちゃうわけ
バカはくり返すからよ
バカが業務くり返しちゃうから、会社の」
煤けた昭和を撤去した3台置きのパーキングを
横目に通るオッサン達を引くには早い時間

雪の2月
同じ薄暮に黒のジャンパーで背を屈めていた
あの痩せた、小柄な子は辞めたらしい
あまり気の毒で予備のカイロをあげた
目鼻の貧しい顔をして
自分の体を抱いていたあの子は今
もっと良い所で働けているのだろうか

素っ気ないしつらえの繁華街と違い
黒ずんだセメント塀じみた湯島の風情は
湿度を帯び懐かしい頃に似て好きだが
男の子には、こんなしみったれた所で
ささくれて行って欲しくないと思った
荒むなら歌舞伎町で暴れて来い、と思った


自由詩 パークサイド裏 Copyright salco 2012-08-29 23:34:56
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