煎餅蒲団
藤鈴呼

紫色の 煎餅蒲団
昔 父の姿が 其処に有ったような
煙たい空気ばかりを 思い出すような
不思議な 感覚

時の隙間を 超えて
押入れの中から 取り出せば
ちょっとだけ 黴臭い けれど
とても 懐かしい におい 広がる

おかあさんでもなくて
おとうさんでもなくて
名前で呼ぶ 名前

わたしは
ワタクシでも アタシでもなく

認められたのは
一つの 記号
一つだけの 気がかりと ともに

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自由詩 煎餅蒲団 Copyright 藤鈴呼 2012-08-28 21:48:56
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