螺旋階段の案内人
乙ノ羽 凛

週に一度だけ深夜、君が一度目の眠りについた後そっと部屋を抜け出し
近くの公園で煙草に火を点ける

今日までの一週間を整理するために僕が壊れないための一服

愛おしい君を救えない非力な僕
いや、救えているのかなんて流れるように走りすぎる車のランプを見つめて考える

ネオンだらけで星なんか見えない夜空に僕の口からこぼれた煙は宙を舞い消えていく

この街は決して眠らない
君は眠れない夜に怯えて悩まされて僕は君の手を強く握りしめる

君はすぐ目を覚ますから携帯から鳴り響くコールが僕の現実への扉の入口
そう、君の元へと

君は僕を離さないように抱きつきながら二度目の眠りへ
ベッドの温かさに慣れた頃また君は涙を流すんだろう

欲の階段を一歩上っては満たされてはの繰り返し
この階段の先には終止はきっとなくて先の見えない螺旋階段のよう

上れる所まで登ってやる何階でも何回でも君と一緒に
君の鼓動が消えないように

案内してあげるよ、欲が尽きるまで光が見えるまで


自由詩 螺旋階段の案内人 Copyright 乙ノ羽 凛 2012-08-27 22:04:28
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