死んでレラ
シリ・カゲル

朝になればさらさらパウダーシートで確かめる
自分と世界との境界。
(大丈夫、まだどっちもあるよ)
でも鎖骨の窪みから急速に気化していくのは連続熱帯夜の更新情報だけで
臍の奥の奥にある、本当に持っていってほしいものは取り除けないね。
(遮光カーテンでもさえぎれない夏の光がマー油の小瓶を射抜く)

突然ですが、ここで蝉よ。
冬虫夏草を免れて、首尾良く大腸で爛熟した蝉たちよ。
大人の階段昇る君はまだ死んでレラさ。
集ってセカイノハテの街路樹で心ゆくまで時雨をフラせよ。
そして命の最後の一滴尽きるその時まで
歩道の隅にやり投げられた適度にぬるい湿布薬をふやかせ。


自由詩 死んでレラ Copyright シリ・カゲル 2012-08-14 22:41:32
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