なつのいのり
草野春心
かたすみで
ひざまづいているような
夜の闇に
蚊取線香のけむりが
しろく冷めてゆくのを
いのるように
きみは見ていた
胸に抱いた
夏のにおいは
こう言っていた
「ひとつだけあげるけれど
ひとつだけ、
きみからうばうからね。」
自由詩
なつのいのり
Copyright
草野春心
2012-08-11 12:15:36
縦