きみは、
あ。

例え握りつぶしたとしても
きっと
手は汚れないと思うんだ


乾いてひび割れてきている田んぼにも
まだ新しいビルの真っ白な壁にも
しっとりと重たい町屋の歪んだ屋根にも


よろよろと垂れ下がっているのは
瑞々しい、夏
甘い水でいっぱいなんだろうけれど
触ったってべとべとしない


イメージ


蝉の声がはねっかえる
二の腕を虫に刺される
ソフトクリームをこぼす
たちまち蟻が集まる
突然の夕立
流れる
そして湿度
消えた雨雲
立ちのぼる水蒸気
日常
きみは夏、
きみは夏、


ねえ、
全部いっしょに
食べちゃってもいいかい


自由詩 きみは、 Copyright あ。 2012-08-10 10:45:11
notebook Home 戻る