黄昏待ち
そらの珊瑚

おひさまに干されたふとんは
懐かしい匂いがする

平屋建ての木造家屋
屋根より高く育ったヒマワリ
リュウノヒゲにふちどられた細い通路
赤いバラのアーチでは
テントウムシがアブラムシを食べていた
銀色のトカゲの背がぎらりとひるがえる
熟れすぎたイチジクは
川べりに落ちてアリが群がる
空に吹き上がる圧縮された雲
海を渡ってきた湿り気を帯びた風

絵を描く父とポニーテールの母は
今の私より
ずっと若い

西日があたると
世界は黄金色になる

黒い影を漂白するこもれびのパズル
木陰に置かれた乳母車の中で
私は夢の中

あれからずっと黄昏を待っている



自由詩 黄昏待ち Copyright そらの珊瑚 2012-08-04 10:54:48
notebook Home 戻る