生きる
灘 修二

わたしは遠く故郷に忘れてきた
美しい風景を見ようとしたが
目の前に大きな黒い岩が立ちはだかって
見渡すことができない

岩の上によじ登って
遠くを見ようとしたら
岩が動き始めた

大地が揺れて
岩が回転し
私は転落した
故郷の遠景は消えて
傷口が開き
赤いマグマがわき出る
頭を押さえた

美しい風景より
今どのように
生存するか
頭を抱えてうずくまる

激痛が走って
わたしのゴールラインを割る前に
追いつかなければならない

死にたくはない
死にたくはない
痛ければ痛いほど
かすんで遠のく
美しい風景を追いかけていく


自由詩 生きる Copyright 灘 修二 2012-07-28 00:53:18
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