いつも夢を見ている
青土よし



(…ああ、これは海鳴り……)




ずっと遠い夢を見ている。
なにが正しいのか分からないままでいる。
「僕はいつも傷ついているんだよ」と言う。
それは嘘ではないと思う。

誕生日に沢山の友人を呼んで、楽しいパーティーを開いてみたい。
静かな朝を迎えてみたい。

夜明けの中に腕を入れると、生温い触手が絡むようである。
五感が誇大化する。
そのことによって死ぬか、死ぬような現象に苛まれるだろう。
けれどもゆっくりと伝う女の子たちのこそこそ話は無遠慮に私の胸を痛ませる。

冷たいココアが飲みたい。
人に優しくしてみたい。

重要な言葉はいつも誰かが掠めてしまう。
何を言おうとしたのか、だからすぐに忘れてしまう。
あの人に言っていないこと、を忘れる前に言ってみたい。


目を上げると夜は終わっている。


自由詩 いつも夢を見ている Copyright 青土よし 2012-07-20 01:13:31
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