心臓の鉛
永乃ゆち

忘れられた歌

幼い日の

遠い記憶と

優しい嘘


軽い眩暈と

心臓の鉛


どこまで潜ってゆくの

どこまで走ってゆくの


世界は等しく朝を迎えるけれど

生き物は平等なんかじゃない


忘れられた歌

紡いで響かせる

幼い日の

鮮明な記憶と

真実に覚える痛み


軽い眩暈は

もうずっと以前から

心臓の鉛は

溶け出すこともなく

重く

重く

重く


土砂降りの中

傘もささずに踊っていたい


自由詩 心臓の鉛 Copyright 永乃ゆち 2012-07-18 04:45:51
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