恋をしていた
永乃ゆち

なないろのおもちゃのくにへつれてって いっしょう恋に傷付かないよう


つま先を並べたベッドに月明かり優しく熱を帯びてゆく夜


潔く決意することいきものは愛することで生きていること


お互いがお互いの為生きている コールタールに花の咲く時


『元気です』書いては消したしわくちゃの便せんに滲む細やかな嘘


誰にでも許されるべきためらいと弱さがあって世界が回る


あの人が私をたった一度だけ呼び捨てにした それがお守り


初恋は月が欲しいと泣きじゃくる子どものような淡い理不尽


生きていることに満足したいから泣いても泣いてもまた恋をする


あなたとの出会いはきっとパンドラの函の最後の希望なのです


短歌 恋をしていた Copyright 永乃ゆち 2012-07-17 08:00:51
notebook Home 戻る