透過するきせつ
かんな

透明から
溢れるような
ちいさな恋の始まり
色づく
季節をめぐり
花咲いたあの日


売ったり買ったり
できるものほど
重要ではないかもしれない
売り買いできないものを
やりとりする
きっと大切なこと


知らないうちに
あたりまえに
なっていたものごとを
特別
に戻す行為は
ほんとうに必要


忘れていた
ページを開くときは
なにも手にしない
過去に
まるやばつなどつけない
ただほら涙が流れて
一時染みができるけれど


忘れ去られた過去を
修復する
隙間から
現在が流出して
ことばを押し流していく
今ここにいます


逃げても
追ってくる事実には
向き合う
こちらから走っていく
そんな必要はない
歩みよればいいから


はじけるように
こころの一部が欠けた
拾ってくれたのは
君のてのひらでした
冷えたゆびさきなのに
こころは温かだった


不器用なことばを拾う
不器用な手を繋ぐ
不器用にひとを愛す


今よりも
大切なことなどないから
ひとは鼓動をだきしめる
私よりも
大切なものなどないから
ひとを同じように大切にできる


魔法というのは
誰かにかけるものではなく
自分にかけるもの
素敵なレディになりますように
そんな単純な
願いごと


おおきな夢をもち
ちいさな毎日を過ごす
ぎゅっと詰め込んだり
はっと気づいたり
日々は冒険
終わりなどない




自由詩 透過するきせつ Copyright かんな 2012-07-16 04:51:42
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