nonya


知らず知らずに
君を刺していた

心の何処かが軋んで
君を刺していた

誰にだって
有り得ることなんだ
僕達は棘を抱えて
生まれてきたんだから

気をつけていても
何処かの棘で
うっかり誰かを
刺してしまうことだってある

大切なのは
刺してしまった後

大切なのは
自分の棘に気づいた後

そこそこ知っている者は
これから知る者の
背中にそっと
手を添えるふりをしながら
想像力の種を植えてあげよう

やがて種から葉っぱが出て
背中に花弁のような
想像力の翼が咲けば

刺されてしまった誰かの
痛みのほとりにだって
舞い下りることができる

刺してしまった誰かの
後悔の上空でだって
旋回することができる

そうやって少しずつ
世界を広げることができたら
僕達が抱えている
棘の先っちょも
少しずつ丸まってくる
と思うんだ




自由詩Copyright nonya 2012-07-14 13:07:51
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