こくご
かいぶつ

ひらがなは、いやだ
ひらがなは、かっこわるい
ぼくは、かたかなになりたかった
もっと、すぽーつかーみたいに
まっかなからだで
びゅんびゅん、はしってみたかった
そうして、あのこをむかえにいって
うみのみえるまちまで
どらいぶにいきたかった
びーじーえむは、なににしようか
なにいろのすにーかーを
はいていこうかなんて
よるのあいだにあしたのことをかんがえて
そのまんま、ねむりたかった
もう、ゆめなんてみなくてすむように
からっぽのこころに
からだをすっぽりうずめて
ふでばこの、しゃーぷぺんみたいに
ほんのすこしきゅうくつに
ねがえりをうってみたかった

ひらがなは、いやだ
ひらがなは、あたまがよわい
ぼくは、かんじになりたかった
かんじになって、せのびして
ぼくをなのってみたかった
なのったあとは
このからだもひかりもやみも
めにみえる、すべてのいろもかたちも
すべてかんじにへんかんして
ひとますに、つめこんでやりたかった
くとうてんをうちひとやすみしたら
むずかしいかおなんてせずに
よわいあたまで
あなたのなまえをかんじにして
かきつけてみたかった

ひらがなは、きらいだ
ひらがなは、さみしい
ぼくはただ、ことばになりたかった
ことばになって、こえにだしてもらいたかった
あまがえるの、あしおとよりもちいさく
いんせきが、ばくはつしたときのおとよりも
おおきなこえになりたかった
そうして、ときには
ことばを、おんぷでつないで
ふるさとの、ゆうじんのけっこんしきで
ようきにうたわれたり
こくごのじかんに
つっかえつっかえろうどくされたり
いちにちのおわりに
おわかれのあいさつをして
ねむってしまったら
ゆめのなかでばくとおしゃべりをしたり
よるのためにねごとをこぼしてみたかった
ぼくは、ことばになりたかった
そう、ことばにだして
ねがいがかなうのだったら
たったのいちどでもねがいがかなうのだったら
ぼくはいしころになってもかまわないよ
ぼくは


自由詩 こくご Copyright かいぶつ 2012-07-13 06:09:52
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