きれいなお城
はるな


きれいにつみかさねた夜でできたお城
ぴかぴかに磨かれた言葉たち
いい匂いのする分厚いカーテンをくぐって
しらじらしい朝をくぐって

いくつものいくつもの
いくつもの肌をふみにじって
あらゆるやさしさを足げにして

愛している人の頬を張りたおして
愛してもいない人の肩に抱きとめられ
愛してくれる人の臓腑を食いちぎり

もうこれ以上一ミリメートルも泳げない
そう思ってからまた腕も脚もばらばらになるまで泳いで
泳いで泳いで
眼も髪も肌もからからになるまで泳いで

そうしてやっとたどり着いたわたしにわたしが言う
つぎはこの皮膚をこえて
そしてたどり着いてちょうだい
はやくわたしにたどりついてちょうだい
まだかたいお城のなかで
待っているからたどりついて



自由詩 きれいなお城 Copyright はるな 2012-07-13 00:48:12
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