あまだれ
yo-yo

あまだれが落ちるのを
じっと見ていた
そんな日があった
そんな子どもだった


樋の下でふくらんで
まっすぐ地面に落ちてくる
ああ
あまだれが1ぴき死んだ
あまだれが2ひき死んだ
あまだれがいっぱい死んだ


小さな涙のよう
息をとめて
落ちる瞬間が美しい
さよならをする
合図のようだった


おじいさんもさいなら
おばあさんもさいなら
おじいさんは雨あがり
おばあさんはどしゃぶり


はよ帰っといでや
茶がゆにたまご焼き
ちりめんじゃこに茄子の古漬け
うすぐらい土間の
足踏みの石臼
みんな帰っていった


おじさんもさいなら
おばさんもさいなら
誰もみんな
かんたんな合図だけで
あまだれになってしまう


光ったら消える
あまだれのさよなら







自由詩 あまだれ Copyright yo-yo 2012-07-12 19:58:58
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