裸眼で逢おう
永乃ゆち

目の中でゴロゴロしてる

グリーンのコンタクトをつけて

それだけでお姫様になれると思っていた


風に前髪がなびいている

ピンクの髪留めをつけて

それだけで少女になれると思っていた


唇の上できらきらしてる

ピンクのグロスをつけて

それだけで愛されると思っていた


スカートをはかなくなっても

ヒールの靴を脱いでも

私を認めてほしかった


そこに今までの私はいないけれど

確かに存在する『わたし』を見つけてほしかった


でも貴方は知っていたのね

貴方は私の心臓めがけて話しかけてきたのだから


裸眼になって髪留めをはずし

グロスを拭ったわたしを

貴方はちゃんと知っていた


必死に見栄を張るように着飾った事の無意味さを

哀しくも思うけれど

何もなくなったわたしをあなたが見ていてくれるだけで

呼吸ができる


私わたしになる

今日からわたしになる


わたしの顔で貴方に笑顔を返せるように


自由詩 裸眼で逢おう Copyright 永乃ゆち 2012-07-08 21:59:48
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