日和
salco

こんな日だ
薄曇りがやんわり晴れ
暑くもない、寒くもない
欠伸がよく合う昼下がり
うたた寝みたいな日曜日

乾いた目やにを払いもせず
裸足の男がリビングで
ぼんやりと窓を見ている
昨日の雨滴が大気に残り
あらゆる音が滲んで柔らかい

まさにこんな日

子ども達は遊びに行き
妻も用事で出ている
男はしばらく考えて
サンダル履きで玄関を出る
あるいは顔を洗い、寝室へ戻る

子ども達はまだ知らないし
妻はとうに忘れているか
読んだ事もない
六十年も前サリンジャーが描いた
最適の日


自由詩 日和 Copyright salco 2012-07-08 00:18:11
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