君という言葉の意味は
yamadahifumi

  

世界は静かに回転を続け
僕達は笑い続ける

光は夜の奴隷 それでも
全てを明るく照らすにはまだ間がある

言葉が一本の透明な線の時
君の言語は岬の突端に触れる

あの時、君が言わなかった言葉を僕は
今もまだ硬く握りしめたまま

君の事を想っているのだよ
君が全てを失っている事を想定して

失う事はいい事だ もし君に
全てを手に入れる勇気があるのなら

勇気の中にも夜があり それは言葉の中の夜に
酷似しているが

君は君の言語で話そうとしない その時、風は吹き
再び、夜という名の昼が訪れる

フロイトが無意識を探索した時、彼は
あらゆる夜の扉を開いたのだ

僕達の闇が分解されて光りになって
全てを覆う時に

君はあらゆるものを失うために全てを手に入れる
もうどんな言葉も手垢にまみれているのに 君は

自分だけの言語を手に入れようとして
死ぬ

そしてその死体が人類至上初めての
本物のオリジナルな言語なのだが

人間の盲目の目にそれは写らず
僕の涙の端を僅かにかすめてそれは意味を失い そして

世界を崩壊させるに足る 一すくいの
灰を生み出す

世界は灰となったから 灰を再生させるのは
新たな炎だろう 炎を消すのは水ではなく

死体だろう その言葉が意味を持って
君となる

第六感に頼りたまえ たまにはこの世界にも
微風が吹くさ

君がそこにいるなら君は
全てを感じ取る事も可能だ

この僕の存在とこの僕が感じ取った事さえ
感じる事もまた可能だ

さて、そろそろ終わりにしようか
世界は意味に溢れている故に

君の意味に気づかないから


自由詩 君という言葉の意味は Copyright yamadahifumi 2012-07-06 12:50:35
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