行ってきます
まきしむ


朽ち果てた体と心をもち
屈伸運動を続けています
 今からいくのです
わたしは裸で川を渡り
いくつもの手にそれを触らせ
堪えきれぬ恐怖を感じつつも
一歩一歩地に沈んでゆくのが
どうしようもない事実であろうと
 わたしは行くのです
まだ灯油が残っています
それはもう微かで
震える手でマッチを擦り
よろめく足で立ち上がるためのものですが
ともあれ私はそれによって生かされており
深く感謝したい、そう思っており 静かに呼吸を整えました
 これで最後です
ありがとうございました
私は行って来ます
ありがとうございます


自由詩 行ってきます Copyright まきしむ 2012-07-04 20:01:53
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