わたしＭ子
様々な姿を見せるけど
青空は一番好き
実は八等身でフリーのモデル
いま就活中だけど、自尊心だけは高いのよね 。
試しに一時間だけプラカード下げて立っていたら（ほらほら）じろじろ見られて、すぐに近づいて来たわ 。
ひとりは化粧品の販売員で、もうひとりは不動産屋の社員
三人目でようやくお目当てのタレントスカウトね 。みんな男性だから、やっぱり美人って徳よね 。

翌日順番に訪ねてみたわ
さすがに販売会社のオフィスには小綺麗な女性たちが占領してたけど、何故かデスク上に置かれた小包な袋や箱ばかりが目立ってさ
開いた中身がチラッて見えたら、数珠玉とか壺とか、へんな文字が印刷された紙切れが大量に入ってた 。
男性社員の対応もばかに丁寧だからさ、なんだか怪しくなっきてサッサと退散しちゃったわ 。

次に不動産を訪ねてみたの 。
部屋は白くて従業員は真面目そうなひとばかりだから、なんかいいかなぁって思った。
昨日もらった名刺を見せて（にっこり）精一杯作り笑顔で挨拶したのよ。すると奥で静かに仕事をこなしていた年増の女性がおもむろに立ち上がり、ドアが開いたままの社長へ案内してくれたわ 。（社長はもうすぐ帰って来ますから…）上質な皮のソファーにちょこんと座りながら待たされた。お茶を出されて部屋の中をゆっくり見渡したら、戸棚の中にやたらにゴルフ道具が多いのよ 。少し待ってると、坊主あたまにサングラスかけたお兄さんが二人受け付けにやって来て、すると、突然従業員たちの会話がにぎやかになったと思ったら、そのうちサングラスのひとりがわたしに気づいて、ひそひそと小声で話し出したのよ。なんだか怖くなって、（また来ますから…）って、逃げ出しちゃった 。
就職活動って、いろいろと難しいものなのね。

最後にお目当てのタレント事務所を訪ねたの。
乱雑に置かれた雑誌や、けっこう人気ある女の子のビキニのポスターが壁紙一面に貼られてる 。まわりは海、海、海、常夏の島。やばぁ 。これってマジ、アイドル！ なんだか雲の上にのっかったみたい 。写真見ながら打ち合わせしてたスタッフの中に、超カッコいい！欧米人らしきハーフもいるじゃん。そのうちの不精ヒゲ生やしたおにいちゃんがやって来て、わたしをじろじろガン視状態 。（ほらほら）ついに来たわね、脱ぐ勇気あるかって、聞くんでしょ 。 （きみって 足長いね、何等身あるの？出身は何処？） あ、いえ、はい！わたし八等身ありますけど …
（今夜居酒屋でスタッフと打ち合わせするんだけど来る？） え？ （きみ、キムチとか好き？ チゲは？そこ、韓国料理なんだけど…）え！ あのう、わたし、出身は××県生まれで…小さい頃に父が死んで母親に育てられ…それで、、キムチダメなんですが… （へ〜・・ 今どき珍しいな〜あんな刺激のある食べ物がダメなの？） ・・ あ、はい、あのう、わたし、八等身あります。でも刺激的なのあまり好きじゃないんです。
社長さんも行かれるのですか？ （俺が社長だよ （笑） そこの店って、俺の女房のお店ハラモニだ （笑））って、そうか、やっぱし多いんだよね、芸能界って 。女性スタッフが忙しく間に割り込み。（社長！××さんから国際電話・・） …あのう、やっぱり出直して来ます… 。 （あ、そう、よかったら、必ずお出でよ ！） …やっぱ職安に行ってみよ。

わたしＭ子
星の出る夜も好き
世の中ってなんか怪しいひとたち
履歴書に書いた趣味は【詩】って、何？それ、一番怪しいじゃん。
いま就活中
でも、なんの隠し事もないんです 。
見た目まんまよ
それでも八等身ありますから 。