踊り子
榊 慧

踊り子、つま先で回り脚を高く上げる
踊り子、線香花火、落ちていくだけ
踊り子、夏の星になぜ届かないの

ああ
マーメイドになれるなら、
この両脚、切断して
海の星を探して、
振り向いてって言ってる少女の願い事を叶えるのに

踊り子、若いうちしか恋が叶わない
踊り子、パトロンは若いものにしか興味がないって知ってる、
踊り子、紙風船

さみだれは夜が入っていって色が無くなるその空間、
あんず色の口笛吹いているランボーがもうやめろって
浅い夢を見るな、
この踊り子はマーメイドとしか会話ができないってやっと気付いた朝

気付いた、踊り子だったんだと自分が
これから先このままだと信じてた
このままだと信じてた


自由詩 踊り子 Copyright 榊 慧 2012-06-21 11:52:14
notebook Home 戻る  過去 未来