舗道
カワグチタケシ
舗道に照りかえす低い陽にむかって
かわいた空気のなかを僕たちは
舗道に暮らす人には気をとめずに
西陽に目をほそめて歩く
大通りのむこう側からとぎれとぎれに届く
コーラスが見知らぬ誰かを祝福している
彼らは立ちどまり、歌が終わり、拍手が起こる
僕たちの想いは誰かに届くのだろうか
今、同じ時間、違う場所で
ひとりで死んでいく命があって
西陽にむかって歩く僕たちがいる
世界はとてつもないスピードで回転している
時代遅れの神々の動体視力は僕たちを
とらえることができない
自由詩
舗道
Copyright
カワグチタケシ
2012-06-20 23:49:03