月よ/月夜
rabbitfighter

僕はそこに居た
夜が明ける前
朝はまだ遠いところで
僕はその部屋に居た

沢山の人たちが 星みたいに輝いていて
まるで宇宙にいるみたい
彼らのささやき声は 重力みたいにひそやかで
僕にはわからない
でも君の振動が 優しく僕を そっとゆらして

僕はそこに居た
夜が明ける前
朝はまだ遠いところで
僕はその部屋に居た

テーブルの上 グラスの中
点される蝋燭の ちいさな灯り
君の顔は月明かりみたいに静かで
それから君は ゆっくりと踊る
沢山の 星たちを従えて

月よ

君に触れたいと思う
僕の指先も そう思う
無重力の宇宙で
君の重力に引かれるままに 手を伸ばして
唇を重ねる 始まりと終わりの
境界線上にある瞬間

そんな瞬間を 僕にくれないだろうか


彼女はチョコレートを 代わりにくれた
口の中に入れると 溶けずにからからところがった

彼女は僕に 星屑のかけらをくれたのだ






自由詩 月よ/月夜 Copyright rabbitfighter 2012-06-07 18:18:24
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